他社を観て自社の幸福を知る。(佐藤一斎『言志四録』晩192)

コラム

「人の禍あるのを見て、我が禍なきの安らかなるを知り、人の福あるのを見て、我が福なきの穏やかなるを知る。

心の安穏なる処は、即ち身の極楽なる処なり。」

これは佐藤一斎『言志四録』の言志晩録第一九二条に書かれた言葉である。

意訳すると以下の通り。

他人の禍を見て、自分に禍がないことのありがたさを知る。

また、他人の福を見たら、その福のおかげで、自分には妬みや恨みが降りかからないから穏やかでいられる。

もちろん心の安穏は身体の極楽であると。

人生、不平不満を言う人はいる。しかし、そういう人ほど世界に目を向けてほしい。世界には今日一日を生きるのも精いっぱいの人もいる。また、歴史に目を向けてもいい。過去には戦争などに巻き込まれて不幸になってしまった人もいただろう。そういう人を思い浮かべれば、自分がいかに幸せであるかを知ることができると佐藤一斎は言っている。

では、他人の幸せを見たらどう思えばいいか?その場合は、その人に注目が行く。中には妬みを持つ人もいるだろう。これは世の常だ。だから、幸福な人のおかげで、自分には恨みなどが降りかからなくて済むので安穏でいられると佐藤一斎は言っている。

これは会社経営でも同じことが言える。私はよくニュースで企業の悪い状態を観る。何もこれは自社が幸福であることを確かめるためにしているのではなく、業績の悪くなった企業には学ぶべき点が多いからだ。

例えば、社長が表に出すぎると一瞬は業績が上がるが、しばらくすると業績が落ちることが多い。こういうのもニュースを観測していればよくわかる。

また、大企業の不祥事のニュースなどを観ると「失敗する組織」というのがよくわかる。これも自社のマネジメントに応用できる。

詐欺事件などを観れば、自社も騙されないようにしようと勉強になる。

このように他社の禍を観ることは得られるメリットが大きい。逆に自社だけを見ていては視野が狭くなるので注意が必要だ。

記事執筆者
作野裕樹

(株)創伝社、代表取締役。1978年、愛知県生まれ。2001年にITビジネスで独立起業、2003年に法人設立。自社ブランドサービスを開発、運営。同経営は『経済界』『実業界』などに取材され掲載。書籍『学校では教えてくれない起業の授業(アスカ出版)』などを出版。
現在、自身の起業、経営経験と東洋思想の知見を活かした経営コンサルティング事業も展開。起業家や経営者のための「教養」を学ぶ場「創伝塾」を2010年から主宰中。
趣味は古武術(古流柔術)、ピアノ演奏など。

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コラム執筆者:代表取締役 作野裕樹
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