倒産を恐れない。(佐藤一斎『言志四録』録132)

コラム

「聖人は死に安んじ、賢人は死を分とし、常人は死を畏る。」

これは佐藤一斎『言志四録』の言志録第一三二条に書かれた言葉です。

意訳すると、聖人は死は安らぎと捉え、賢人は死は自然の摂理であると理解していて、一般人は死というものを畏れながら生きているということ。

要するに、死なんて誰にでも訪れるものなのだから畏れても仕方ないよと佐藤一斎は言っているのです。

これを会社に当てはめてみると、会社の死とは倒産を表します。つまり、「倒産を畏れて会社経営をするな」ということ。

なぜ、倒産を畏れてはいけないのでしょうか?

理由は倒産を畏れていると、大事なとこで経営判断を誤ってしまうからです。

例えば、泣けなしのお金を使って独立開業したとします。すると、どうしても愛着が湧いてしまい、本当はお客さんや従業員に必要とされていないにも関わらず、ダラダラと事業を続けてしまう過ちを犯してしまうのです。本当は倒産廃業した方がよいのかもしれないのに。

また、世間体を気にしてしまい、倒産や破産をすると「かっこ悪い」と思い、赤字を垂れ流しているにも関わらず事業継続してしまう経営者もいます。

挙げ句の果て、事業を継続させるために消費者金融などにお金を借り、高い金利の支払いのために首が回らなくなってしまうのです。こうなるとただお金を返すためだけに事業をやるだけの状態になります。

そうではなく、「一生懸命やってダメだったら倒産でも破産でも仕方ない」ぐらいの楽観的な心理の方が、変な縛りがない分、適切な経営判断がしやすくなるものです。

ちなみに、私自身は倒産を全く恐れていません。もし倒産になったとしても「ああそんなものか」と思うだけでしょう。失うも何も、もともと、ゼロから始めたわけなので、またゼロからやり直せばいいだけの話です。恥ずかしい気持ちも一切ありません。もともと不出来な凡人なのですから。

また、これは何も倒産だけでなく、「事業撤退」でも同様のことがいえます。世間や時代が必要としていない商品を売り続けても仕方のないものです。そうではなく、潔く死を認めて撤退することも経営では大事になってきます。要するに死を畏れてはいけません。不生不滅。生も死も自然の摂理なのですから。

記事執筆者
作野裕樹

(株)創伝社、代表取締役。1978年、愛知県生まれ。2001年にITビジネスで独立起業、2003年に法人設立。自社ブランドサービスを開発、運営。同経営は『経済界』『実業界』などに取材され掲載。書籍『学校では教えてくれない起業の授業(アスカ出版)』などを出版。
現在、自身の起業、経営経験と東洋思想の知見を活かした経営コンサルティング事業も展開。起業家や経営者のための「教養」を学ぶ場「創伝塾」を2010年から主宰中。
趣味は古武術(古流柔術)、ピアノ演奏など。

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