「素人は戦略を学び、プロは兵站を学ぶ。」by オマール・ブラッドレー

コラム

「素人は戦略を学び、プロは兵站を学ぶ。」

これはアメリカの軍人オマール・ブラッドレー(1893~1981年)の言葉である。

兵站とは、ブリタニカ国際大百科事典によると「軍事装備の調達、補給、整備、修理および人員・装備の輸送、展開、管理運用についての総合的な軍事業務。」である。

これはスモールビジネスで例えるなら、資金調達、資金管理、組織マネジメント、採用、人材教育、法務、税務などの表には出ない「裏方業務」などが当てはまる。

誤解を恐れず、もっとイメージしやすいよう例えるなら、野球でいえば「送りバント」をしてくれる存在だったり、バレーボールであれば「トスを上げてくれるセッター」のような存在であろう。直接、「得点」をたたき出すわけではないが、間違いなく得点するために必要な「補給」的存在である。

 

実は、経営は「表方」よりこういった「裏方」の兵站が非常に重要になってくる。

「たった●日で●万円儲かった!」
「利益●倍になった!」
「●●だけやれば経営はうまくいく!」
といったわかりやすいノウハウの方が世の中好まれやすい。

が、実際は、そういった表方よりも、裏方である「兵站」の方が経営では重要になってくる。

 

目標を達成するために「戦略」を考えるのはもちろん重要だ。しかし、その戦略を実行していくためには、どうしても継続的にそれを実現するための「兵站」が必要になってくる。

例えば、ライバルに勝つために「ある機能に特化した商品で戦う」といった戦略を構想したとする。ここではわかりやすくITソフトとして考えていただきたい。

そのITソフトを開発するには、優秀なプログラマーが必要だし、そのプログラマーの実力を維持または向上させていく教育システムが必要だし、時には他のプログラマーを採用して補充する必要もあるだろう。

また、自社でそれらを実現できない時のために、アウトソース先やビジネスパートナーを外部に持っておく必要があるだろう。

こういった「兵站業務」は決して表には出ない。準備しても永遠に利用しないこともあるだろう。でも、万一のために準備しておくのが名経営者である。

 

昨今ではコロナウィルス蔓延によって、多くの企業がダメージを受けている。しかし、日頃から「兵站」を意識していた経営者は、痛みが少ない、もしくはチャンスとなっている。このような不況はサイクルを伴って必ずやってくるのが常。だからこそ、好況期にはしっかりと利益を稼ぎ、万一のために積み上げておく。そして、冬の不況期を乗り越えられるだけの体力をつけておくのだ。

例えば、任天堂はWiiがヒットした時、大幅にキャッシュを溜め込んだ。株主からは「配当を出せ!」「株主に還元しろ!」「設備投資しろ」などと突かれたそうだ。が、「ゲーム業界は水物。いつ不況になるかわからない。」と株主に説明し、稼いだキャッシュを万一のために確保しておいたのだ。その後、任天堂は3期連続の赤字を出すなどの不況に陥ったが、蓄えたキャッシュでしのぎ、再び「ニンテンドーSwitch」をヒットさせて復活したのだ。

これも「兵站」重視が功を奏した結果といえよう。

「素人は戦略を学び、プロは兵站を学ぶ。」

スモールビジネス社長は肝に銘じたい名言である。

 

執筆者プロフィール
作野裕樹(さくのひろき)
(株)創伝社代表取締役。スモールビジネスコンサルタント。元祖ステップメールのアスメル®︎開発運営。2001年より独立起業。
主な著書に『学校では教えてくれない起業の授業(アスカ出版)』『宇宙イチわかりやすい「ネット起業」の鉄則(ソフトバンククリエイティブ)』などがある。
過去に取材されたメディアは『実業界』『経済界』『WDウェブデザイニング』など。『近代中小企業』などでコラム執筆経験もある。 米マサチューセッツ大学、経営大学院(MBA)中退(2017-2020)。愛知大学法学部卒業(2001)。
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